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◇プロフィール◇
氏 名 伊藤 誠
生年月日 1957/2/27 出身地 山口県 所属学会 日本印刷学会 昭和64年からデジタル画像機器の企画・開発ベンチャーで多くのグラフィック関連機材の企画、マーケティング、開発業務に携わる。平成4年、自ら手がけたインクジェットプルーファの企画を開発中だった事務機器メーカーに移り、同製品の事業化プロジェクトを担当。以後、創生期におけるわが国デジタルプルーフ市場の拡大に大きく貢献した。また同時に高精度カラーマネージメント技術の研究・開発を進め、平成10年に独立。大手商社や繊維メーカーなどの技術顧問を務めながら、業界誌への執筆活動や講演会活動を行う。平成12年7月、色彩技術の企画・研究・マーケティングを行うシンボリック・コントロール株式会社を設立、代表取締役社長に就任し現在に至る。ISO/TC130日本委員、日本画像処理技術標準化委員会委員、会津大学非常勤講師を歴任。 <特許>カラーマッチングのブラック生成法、LUTを使った色変換法、分光特性を使ったカラーマッチング法、デジタルカメラを用いたカラーマッチング法、画像処理の遠隔シミュレーション法 ライフログ
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■避けて通れないフロント側のデジタル化
DTPはそれまで特殊技能のひとつであった製版技術の一般化を生み出したと言われている。品質の優劣を除けば、ホームユースのPCやMacに安価なDTPソフトを乗せただけで、比較的手軽に印刷用データを作成することができるようになったのである。勿論これはQuarkxressやIllustratorを使ったプロの作業にはほど遠いものの、「印刷技術」がより身近なものとなったことは間違いない。 従ってこれからの小ロット印刷市場を考えると、このようなクライアントが作ったデータを受け入れ、必要とあればプロの目と技術でそれをブラッシュアップして印刷することが必要となる。特にオフセット印刷の場合には網点化というプロセスが入るのでなおさらである。これはマーケティング面から見たデジタル化の必要性である。 一方、他品種小ロットの需要に対応していくには、フロント側の工程をできるだけ短縮して生産効率を上げていく必要がある。そこで検討されるのがCTPの積極的導入である。CTPは従来の製版工程と刷版工程をつなぎ合わせてデジタル化したものであり、小規模でフラットな組織のほうが導入効果が早く現れる。従って、分業化が進んだ中堅以上の印刷会社よりも、むしろ小規模業者の方がCTPの導入を率先してやるべきなのである。これはコスト面から見たデジタル化の必要性である。 CTP化について更に述べると、例えばMacを2~3台とイメージセッターを置いて、2人程度のオペレータでフィルム出しを行っていたとすると、CTPの導入によって人員はほぼそのままで刷版出しまで行えてしまう。これによって得られる削減効果は、フィルム代と刷版の焼き付け時間、それと刷版要員と人件費及び刷版設備の空間である。これだけのものがCTPの導入によって一気に得られることとなる。 欧米ではこのような小ロット印刷におけるCTPの導入効果に対する認識が進んであり、例えばAB-DICK社のDPMシリーズというA3判~菊四裁判の小型CTPは、既に納入実績が1,000台を越えている。AB-DICK社は販売対象となる印刷会社を敢えて10名以下の規模に絞っているそうだが、まさにこれは小ロット印刷におけるCTPの導入効果を見極めた販売戦略である。 このように、デジタル化によって営業の間口を広げながら情報加工による提案力を強化でき、またCTPの導入によって生産効率を上げコスト競争力も強化することできるようになる。この2つは次のビジネスモデル構築に必要不可欠な武器なのである。 #
by makoto_itoh
| 2006-05-29 23:09
| マーケティング
■小型オフセット印刷機の動向
アメリカにおいては枚葉オフセット印刷機全体に占める小型印刷機の割合が58%に登るという統計数値があるが、ここ数年日本においても菊四裁以下の小型印刷機の伸びが堅調であると言われている。長期に渡る不況によって「大は小を兼ねる」式の発送による過剰投資を見直し、身の丈にあった設備によって投資効率を上げようとする現実的な姿勢が出てきたことがひとつで理由であろう。また、大手印刷会社によるプリプレス工程の内製化が進む中で、従来の製版会社が活路を求めて川下側の印刷領域に進出してきたことも影響していると思われる。 A3判~菊四裁判の小型印刷機も四色機モデルが各社から発売されており、その機能も向上を続けている。刷版交換装置やインキキーコントロール装置の標準装備化が進み、CIP3のような最新のデジタル技術を搭載した製品も出ている。またカラーマネージメント技術に進歩により、安価なインクジェットプリンターを使って品質的には本刷りと同等のプルーフが得られるようになったことも、印刷品質の安定化に寄与している。 このような流れは、印刷機のオペレーションノウハウがない新規参入業者であっても一定の品質の印刷物を作成可能となっていることを表している。小ロット需要の広がりと共に、生産者側の裾野も広がりつつある訳である。 今後の動向としては、ハイデルベルグのQuick Master DIやリョービの3404DIのような小型DI印刷機の伸びが予想されるが、価格の安い小型オフセット印刷機も引き続き伸びていくだろう。その意味では、IPEX2002で公開されたKBAのGenius52(キーレス、水なし専用の小型5色機)は注目に値するものである。 ただ、いずれにしてもこのような小型オフセット印刷機を効果的に活用するには、次に見るようにフロント側のデジタル化は必須条件となる。これなくして、印刷機に仕事を持ち込むことはできないからである。 #
by makoto_itoh
| 2006-05-28 22:33
| マーケティング
このブログを初めて最初の1ヶ月が終わろうとしています。この間どちらかというと過去に掲載したカラーマネージメント関係の原稿を載せてきました。僕は10数年間に渡って数え切れない程多数の原稿を書いてきました。特に1998~2000年のコンサルタント時代は、それ自体が仕事だったこともあり本当に多数の原稿を書いています。その中には印刷業界を対象としたマーケティング関係の記事も結構あります。
今日からは5回に渡って、2002年5月に発表した「デジタル化で生まれる軽印刷のビジネスモデル」という記事を掲載します。軽印刷という言葉はほぼ死語になってしまいましたが、小規模印刷業にとっては今も当てはまる内容だと思います。 ■はじめに ここにひとつのデータがある。アメリカ印刷工業会(PIA)とグラフィックアーツ技術協会(GATF)がまとめた「21世紀に向けた印刷産業の再定義」に書かれた印刷枚数の推移予測である。これによると、1枚から2,000枚までの小ロット印刷物の需要が1998年の28%から2010年には43%に上がり、更に2020年には47%にまで成長するであろうとしている。また一方、10,000枚以上の大ロットの印刷物は、2000年の36%から2020年には26%にまで減少すると推定されている。インターネットによってマスレベルの情報がペーパーレス化を進める一方で、デジタル化が印刷のパーソナル化を押し進めるために他品種小ロットの印刷需要は逆に増えていくことを示唆した興味あるデータである。 確かにここ数年の間にデジタル印刷機の技術革新が急速に進むとともに、その用途も多様化し需要も拡大してきた。1993年前後にIndigoやXeikonが登場してきた当時とは市場の様相は様変わりしており、デジタル印刷機は一定の市場を獲得したばかりではなく、今後更にその市場を広げていくことは確実である。先のIPEX2002のハイデルベルグブースで、メインステージにオフセット印刷機ではなくDigi MasterとNexpressが並んでいたことは極めて象徴的な出来事と言える。 しかしながら、この小ロット印刷需要のすべてをデジタル印刷がカバーできる訳ではない。オフセット印刷は依然として強い存在意義を持っている。その理由はコストと品質である。オフセット印刷とデジタル印刷のランニングコストを見ると、現在でもまだ2,000部を越えるとオフセット印刷の方が安くなってしまう。また、品質的にはオフセット印刷の方が依然として優っており、製品カタログのようにオフセットクオリティを必要とする需要は今後とも無くならない。ところが、産業全体の他品種少ロット化が進めば、1,000~2,000部単位でカタログを作成することも増えてくるはずである。この需要はオフセット印刷機のものなのか、それともデジタル印刷機のものなのか。このボーダーラインの部分に小ロットオフセット印刷の未来が存在している。 一般に軽印刷という市場については、オフィスや家庭におけるパーソナルコンピュータとカラープリンターの急速な普及によって、存在基盤そのものが危ういと言われてきた。しかしながら、新たな可能性を秘めたこのボーダーライン部分に軸足をおいているのは、他ならぬこの軽印刷という業種である。 ここでは敢えてデジタル印刷ではなくオフセット印刷による小ロット需要への対応を通じて、軽印刷の将来像を見ていきたいと思う。 #
by makoto_itoh
| 2006-05-27 23:02
| マーケティング
今日は会社の相棒と一緒に信州方面に出かけたのですが、その帰りに思いもかけずすてきな虹に遭遇しました!濃い内側の虹と薄い外側の虹とで二重になっていて、更に内側の虹からは光のシャワーが地面に向かって降り注ぎ、周りの黒い雲と対照的な虹のトンネルを雨空に架けているのです。残念ながらデジカメを持っていなかったのですが、急いで携帯電話のカメラを撮影しました。実際の壮大さはとても見て取ることができませんが、何とか雰囲気だけでも感じて貰えればいいのですが・・・。
今日もまた色彩技術関係の打ち合わせだったので、虹(スペクトル)が架かっていただけで縁起がいいのですが、二重の虹が更に相棒と私の二人分の幸運を暗示しているようで、思わず二人で喝采を送りました。やぁ、本当にすごかった! #
by makoto_itoh
| 2006-05-24 22:07
| 雑記
■重要性を増すカラーマネージメント
実はデジタル現像処理というのは、カラーマネージメント処理の組み合わせによって成り立っているとも言える。デモザイク処理されたデータを標準的なRGB色空間に置き換える処理には、デジタルカメラのプロファイルとsRGBやAdobeRGBなどのプロファイルの組み合わせによって行われることが多い。また、デジタル現像ソフトを使う上でモニターのカラーマッチング調整は必要不可欠であるが、これもモニタープロファイルを使ったキャリブレーションが一般的である。更に処理済みのデータからプリンター出力する際にも、プリンタープロファイルによるカラーマッチングでsRGBやAdobeRGBをできるだけ正確に表現できるようにする必要がある。これには印刷のプルーフ用カラーマッチングソフトとほぼ同様の機能が必要となる。 このようなことから、カメラマンサイドでもカラーマネージメントに関する知識や手法の修得が必要とされており、カラーマネージメントに関する解説やモニターのカラーマッチング方法などが多くのカメラ雑誌に掲載されている。また、様々なセミナー等にも多数の参加者があり、カラーマネージメントに関する関心の高さを見ることができる。 今後デジタルカメラ入稿が広がると、カメラマンと印刷会社とのカラーコミュニケーションの確立が必要不可欠なものとなるが、これの前提となるのもカラーマネージメントである。 RAWデータを使った画像処理は12bitの高精細なものであり、モニターのカラーマッチングを含めてトータルなRGB色空間のカラーマネージメントが行われようとしている。それだけに、そのようにしてできあがったデータを受け入れる印刷会社サイドにも十分な知識と環境が求められる。カラーマネージメントについては、印刷会社はカラープルーフの活用などでこの間それなりのノウハウを得てきていると思うが、それは基本的にCMYK色空間を前提としたものである。ところがこれからはRGB色空間のカラーマネージメントについても対応が求められることになる。 デジタルカメラのデータ入稿とは、ある側面から見るとカメラワークとプリプレスワークをデジタルワークフローで統合化することでもある。従って、印刷会社にとっても今までのワークフローを見直す必要が出てくるかもしれない。ただ、DTPが登場してきた際にも言えたことであるが、新たな流れには新たな知識とそれに取り組む強い姿勢が求められる。それを乗り越えて自らノウハウを蓄積していったところが今の勝ち組となっている場合も多い。今また新たな流れに対し印刷会社としていかに対応していくか、あらためてデジタルワークフローへの取り組み姿勢が問われてようとしているのではなかろうか。(完) #
by makoto_itoh
| 2006-05-22 22:20
| カラーマネージメント
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